京セラKDDI日航再建                    
  世界の良心・稲盛和夫さんが90歳で亡くなりました。
 2022(R4)年8月、「世の為人の為」「利他の心」「人間として何が正しいか」等々を、企業理念として27歳で起業した京セラを2兆円企業に育て上げた稲盛和夫さんが亡くなりました。52歳でノーベル賞に匹敵する「京都賞」を創設、60歳前後で胃癌を患い、65歳で臨済宗の円福寺で得度し「大和」の僧名を授かり、80歳で日航を無給で再建。中小企業経営者を指導する盛和塾は米国・台湾・ブラジル等にもあり、中国では会員が14000人にも上るなど、世界的経営者で世界の良識を代表する存在でした。日産を「再建」したカルロスゴーン被告人を思い出してみてください。
   80歳の高齢で、戦後最大の負債で倒産した日航を無給で再建

 2010(H22)年1月、戦後最大の2兆3221億円もの負債を抱えて倒産した日航を3年弱で再建させた稲盛和夫が、日航会長に就任して社員に訴えた最初の言葉は「全社員の物心両面の幸せを実現するために会長に就任しました」でした。
 1959(S34)年4月、最初に就職した松風工業を退職して8人の仲間と共に京都セラミックを創業したのは27歳。2年後に採用した10人の社員から「家族も含めた将来の生活を保証してもらわなければ退職する」と迫られ、社員を雇うという事は、「社員の幸福を実現する事を通して会社を発展させる事だ」と痛感し、その後の経営の柱としている。これが、日航での最初の挨拶の原点である。
  52歳でノーベル賞に匹敵する、京都賞(賞金1億円)を創設
 1984(S59)年、世界各国の基礎科学・先端技術・思想・芸術に貢献した人を顕彰する「京都賞」を創設し、2022(R4)年には第37回の授賞式が行われている。毎年11月ごろ受賞者歓迎レセプションが行われるが、なぜか、テレビや新聞で報道されることは殆どなく、私は11月をとても注視しているが1回も見たことがない。なぜだろう? これまで黒澤明や中山伸弥、坂東玉三郎、赤崎勇、三宅一生等多くの受賞者がいる。受賞者の中から中山伸弥さんをはじめ多くのノーベル賞受賞者を輩出している。
  米国の10倍も高い電話料を下げるため第二電電を立上げ
 1984(S59)年6月、土光臨調の民営化方針を受けて、電気通信事業の民営化が決定されると、米国の10倍も高い電話料を下げるため、無給で第二電電(DDI)を立上げ、巨象NTTへの挑戦が始まる。
 民営化が決定されると、まずは大手企業が手を上げるとみていたが、その気配がないので、自ら第二電電の立ち上げを発表。すると国鉄系列の日本高速通信(日本テレコム)と、高速道路・トヨタ系列の日本移動通信(IDO)が相次いで立ち上げられることになる。
 日本テレコムは新幹線線路に、IDOは高速道路に光回線を敷設できるので、稲盛は、「新幹線も高速道も国のものであり、我々も一緒に光回線をひかせて」交渉したところ、けんもほろろに断られ、仕方なく無線回線を独自に敷設することになり、大変な困難の中で期限までに無線工事を完了。
 当初は、大企業を相手に東京―大阪、東京―名古屋間の長距離電話の契約を有利に契約できたが、最終的にはトヨタの会長や国鉄関連の大物から覆されることになり、大企業を相手にした作戦は失敗。社員が途方に暮れる中、稲盛は「大企業がダメなら個人客を獲得しよう」と提案。地元の電気店等を代理店にした作戦が大成功し結果的には、圧倒的多数の契約を獲得した第二電電がトップに立つことになる。
 その後、株式を上場し、京セラの株価はソニーを抜き最高値を更新するが、普通なら創業者利得が得られる自社株を持たず、社員には高値の株式を与え、家一軒が建てられるほどの利益を与えている。
 なお、この第二電電の立ち上げから成功までの詳細を取材した文庫本『稲盛和夫、独占に挑む』(日経出版880円)が出されており、私は毎日毎日読返して生き方の参考にしている
携帯電話でも圧倒的に不利な条件を覆しトップに立つ
 続いて1987(S62)年、携帯電話に参入しようとすると、郵政省から許可できるのは2社までとされる。もう一社の日本高速通信はトヨタ系で、東京と名古屋圏が絶対必要として譲らないため、格下の第二電電は、それ以外の地域で妥協するしかなく圧倒的に不利な条件下で出発することになる。
 ところが、ここでも仲間であるソニー会長等、第二電電の役員から「そんな不利な条件をのむ馬鹿がいるか!」と叱られる中、稲盛は「損して得とる」「負けて勝つ」という話もある、として東電と中電以外の電力会社と提携しセルラー会社を設立。稲盛の「負けて勝つ」の精神を体現した社員達の努力の結果、沖縄セルラーを含むセルラー8社が圧倒的な優位に立つことになる。
  乱立した新電電各社を吸収合併して新会社「KDDI」が成立
 電気通信事業の民営化後、日本高速通信、日本移動通信等の会社が設立されたが、国際電電(KDD)を含め、これらの会社は独立してNTTに対抗する事は出来ず、圧倒的優位の第二電電に吸収合併されることになる。合併後の会社名は「KDDI」、携帯電話の名称は「au」(アクセス、アメニティのaとユニーク、ユニバーサルのu)として新発足する事になる。現在の売上げは4兆円を超えドコモを超す勢いである。
 現在の携帯会社は、ドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社(楽天が新規参入中)だが、KDDIは稲盛が最初から立ち上げにかかわり大成したのに対し、ソフトバンクは孫正義が2006年4月、英国の「ボーダフォン」を買収して始めており、ゼロから始められた会社ではない。
 孫正義は、京セラと深いつながりがあったというエピソード
 京セラが順調に成長し、中小企業経営者から「経営指導してほしい」と懇願され「盛和塾」が始められるが、孫はその講義の最前列に座り熱心に講義を聞いていた。その後、第二電電が市外電話を始めると、市外局番の前に0077や0088の番号を入力する必要があるため、孫は自動的に0077が入力されるアダプターを開発し、稲盛に売込みに訪れ、第二電電以外の各社にも売り込みたいとしたが、稲盛は独占契約したいと、当時のソフトバンクの年間売上を上回る金額を提示し契約成立。ところが翌朝、孫たちは、稲盛の自宅を訪れ、各社に売りたいので契約を解除してほしいと懇願。稲盛は仕方なく了解し、独自にアダプターを開発。やがてアダプターを加入者に無料で配布し、第二電電が圧倒的なシェアーを獲得する事になる。
 焼酎日本一になった霧島酒造は、盛和塾の宮崎県代表だった
 霧島焼酎が日本一になる過程を取材した本が、日経新聞社から発売されているが、それによると、他県の居酒屋等に許可を経て沢山の霧島を持って乗り込み、無料で提供し、お湯割りや水割り、氷割、炭酸割等の飲み方を提案し、愛飲者になってもらうという作戦で九州各県を制覇。今後は関西、関東、東北、北海道に同様の作戦で攻め上っていくという戦略である。
 その他、焼酎の残りカスを肥料・発電等の材料として活かし全く無駄を出さない等々、目を見張るような実績を上げているのは、霧島酒造が盛和塾の宮崎県代表であることを宮日新聞で初めて知って、なるほどと思ったところである。なお、盛和塾は中国でも会員数14000人以上となり、中国で最も有名な経営者となっている。ちなみに、都城市役所も稲盛フィロソフィを導入している。
  2004年72歳の時、児童福祉施設「大和の家」を創設
 
2004(H16)年72歳で、児童虐待や育児放棄で家族と離れて暮らす子ども達の為の社会福祉法人「大和の家」と児童家庭支援センター「山城こども家庭センターだいわ」を創設し、子ども達の福祉にも大きく貢献しています。大和の家の「大和」は臨済宗の円福寺で授けられた僧名から来ています。「大和」とは企業家とは単に利益集団を作るのではなく、人という命の成就と全ての命や存在の和合を生き、育てる使命を意味するとされています。
 3年弱で、戦後最大の負債を持つ日航を無給で再建
 2010(H22)年1月、日航は戦後最大の2兆3221億円もの負債を抱えて倒産。
 原因は、設立時の半官半民の官僚的体質、自己本位の労働組合が8つもあり、役員と社員は相互に不信感を持ち、社員同士の信頼感や横の連携もゼロ。政府等の無理強いで不採算路線が多く、飛行機の購入も日米貿易赤字の穴埋めのボーイングのみ。競争入札はなく、高額の代金を払わされるなど、赤字にならないのが不思議な体質であった。
 1985(S60)年8月には御巣鷹山事故後の経営を建て直す為、名経営者として知られた鐘紡会長の伊藤淳二が派遣され組合問題等に積極的に取組むが、かえって混乱を招き2年で退陣となっている。
 こうした日航の会長に就任する稲盛に対し「京セラを一代で大成させたとはいえ、航空業界に全くの素人の稲盛では絶対に再建出来ない」というのが全てのマスコミの報道姿勢であった。更に、再建された後には「日航は政府に贔屓されている」と批判されているが、この再建が民主党政権下だったので自民系によるものと思われる。政府機関出資の3500億円と政策投資銀行の6000億円の融資は再建後、利子をつけて返済しており、ためにする批判と言わなければならない。
     2人の側近を連れて、無給で会長に就任
 稲盛は、こうした中で京セラから2人の側近を同行して無給で日航の会長に就任する。そして、「全社員の物心両面の幸せを実現するために会長に就任しました」という姿勢で再建に挑戦。この発言に対して、役員から「そんな発言を聞いたら、組合が喜んでまた社内をめちゃくちゃにします」「組合に社内情報を伝えたら外部に漏れて大変な事になる」等と強硬に反対したという。
 これに対して稲盛は、「社内情報が外部に漏れても、我々が一生懸命努力して、更に良い経営をすればよいだけだ」。「それに社員を信用しないで何が出来るんだ。社員と役員が一体となって努力しなかったら、経営が成り立つはずがない」。
 「社員は非正規も含め、大切な人材だ。彼らが会社の為に努力しようとなるためには、社員を信用しこの会社に勤めて良かったと思ってもらう以外にないのだ」と粘り強く説得し成果を上げていくことになる。、
 また、再建委員会や政府筋からも「社員の幸せを追求する」というのはダメと反対されたが、「迷惑をかけた銀行や債権者には、倒産の責任は役員にあり、社員の責任ではない」として、会長である私が誠意をもって謝罪し許してもらう」と説得し了解を得ている。
     社員の意識改革(日航フィロソフイ)の実現
 京セラから同行した二人のうちの一人は、役員・社員の意識改革のための哲学(日航フィロソフィ)を主導し、日航会長補佐になる太田嘉仁。もう一人は、アメーバ会計を導入するための森田京セラ元副会長である。京セラでは、社員が経営者と一体となって経営に取組むためには、世のため人のため、経営判断の基準は人間として何が正しいか、利他の心、全従業員の物心両面の幸福を追求する等の理念をもとにした「京セラフィロソフィ」を社員の意見をもとに作成し全員配布。これを毎朝お互いに確認しながら作業を進めている。
 日航では、こうした経験をもとに、リーダー教育、フィロソフィ教育、部署の枠を超えた社員の自主的勉強会等を経て、社員と役員が一体となった経営を試行錯誤しながら実践。倒産の原因でもあった、社員を信用しない役員の態度を改め、社員同士の信頼や横の連携を確立し、「売上を最大に、経費を最小に」「誰にも負けない努力」「反省のある毎日を送る」「謙虚にして驕らず」といった精神で社員自らの力で「日航フィロソフィ」を確立し、稲盛経営が実現する事になる。
     小集団会計(アメーバ会計)の実現
 会計改革は、2月後にならないと売上や経費の正確な数字が出ない。獲得予算の消化のみに専念するといった実態を改めることから始まった。経営上必要な売上や経費等の数字を把握しているのは関係役員のみで、その他の役員・社員は全く数字に無関心で、自分の部署の予算を使い切ることに専念するのみで、会社全体のことなど誰も関心を持たないというのが倒産までの実態であった。
 そこで、会社の部署を10人〜20人程度の独立した収入支出が計算できる最小単位に分け、その単位(アメーバ)の中で、売上と経費が計上できるようにして、その日の実績が「今日は赤字だ。いくら黒字だ」と全員で判断できるようなシステムを確立するのである。
     アメーバ会計の計算方法
 具体的には、例えば、デパートの靴売場(担当者2人)を一つのアメーバとして見てみよう。靴売上が月100万円、仕入値が50万円、靴売場の電気料が2万円、家賃相当額が10万円、広告宣伝費が1万円として、実際に計算してみよう(人件費は別に計算)。
 売上100万円−63万円(仕入50万円+電気2万円+家賃10万円+広告1万円=63万円)=差引売上37万円となる。これを2人の月総労働時間320時間(1人当たりの月労働時間1日8時間×5日×4週=160時間)×2人=320時間で割ると、37万円÷320時間=1156円で時間当たり付加価値が1156円となる。この時間当たり付加価値を他の部署、例えば婦人服売場と比較する事で、一人一人の社員が他部署との比較や、前日との比較・今後の目標等を設定出来るようになり、会社の一員として経営に参画する事が出来るようになるのである。
 こうしたアメーバ会計を導入する事で、2か月後の経営数字しか把握できなかった日航が、売上を最大に経費を最小にいう経営が日々実践できるようになり、倒産から1年後には過去最高の1800億円、2年後には2000億円以上の営業利益をあげ世界一の高収益企業へと飛躍したのである。
  郷土や後輩に対する貢献は偉大で、西郷さんと並ぶ偉人として愛される
 稲盛さんは、鹿児島大学をはじめ、母校の小中高校、鹿児島県、鹿児島市等、県内の市町村に対し総額一兆円近い寄付をされています。とりわけ鹿児島大学には稲盛基金や稲盛講堂、稲盛校舎等々の施設が沢山建設され後輩の育成に大きく貢献をされています。
 そのほか国分や川内や隼人には大きな工場を作り、国分には京セラホテルまで建設され、郷土に対する貢献は大変大きなものがあります。また西郷さんの「敬天愛人」を京セラの社是としており、鹿児島では西郷さんと並ぶ偉人としてく大きく顕彰されています。
  普通のおじさんと変わらない日常生活
 更に普通、大会社の社長は、自家用車で送迎され、ドアの開閉は運転手が、鞄は秘書が持ち運び、飛行機はビジネスクラスというのが実態だと思う。
 ところが稲盛さんは、社員食堂で社員と一緒にカレーを食べ、自分で鞄をもって電車で通勤、飛行機はエコノミークラスに乗り、隣の女性のバッグを棚から降ろしてあげるのを見て、同乗した知人がビックリしたという話も伝わっている。また、議長を勉めた日米21世紀改革会議で、日常的に使う印刷用紙のA4判を提案し、一般化されたのも稲盛さんの大きな功績である。
 追申 JALの鳥取三津子(活水女子短大卒)さん59歳が、2024.4.1付で航空業界初の女性社長に就任。鳥取さんは1985(S60)年(御巣鷹山事故の年)当時の東亜国内(JAS)の客室乗務員として入社。専務からの昇格です。これは偏に稲盛改革が日航に根付いた事の証と言えると思います。

      「カップヌードル」と「赤いきつね」 
   即席めんを最初に開発したのは台湾の陳という人
カップヌードルの「日清食品」とマルちゃんの「東洋水産」は、即席麺2強として長年のライバルですが、大変興味深い歴史があります。
 日清食品創設者安藤百福は、即席麺の開発者としてテレビドラマにもなり、大変有名ですが、高杉良『燃ゆるとき』(角川文庫)によれば、自分さえよければという私利私欲の人のようです。まず、即席麺を「鶏糸麺」として最初に開発したのは台湾の陳という人で、「鶏糸麺」は現在も台湾で売られているが、当時台湾在住だった安藤百福がこれを真似て、後に自分が最初だと大々的に売り出しています。これを検証抜きでドラマ化しているのが、先の連続テレビドラマです。
 次に、米国に先に進出したのは日清食品で、その後、東洋水産が進出しようとすると、米国で「カップ即席麺製法」特許が成立したという偽情報を日経新聞に流し「日清食品、米国で特許確立。輸入差止権も。東洋水産など大打撃」との記事が大きく報道され、東洋水産の米国進出を大きく妨害していますが、特許の事実はなく後の裁判でも東洋水産の勝利で決着しています。なお、自社の現在の売上げに占める米国の割合は東洋40%、日清30%となっています。
  自分は「どんぶり型容器」の真似をしたのに、「熱いきつね」は「熱いうどん」の物まねだ、と抗議する日清の身勝手
 その他、商品名をめぐっても、東洋水産のどんぶり型容器の「カップうどんきつね」が「51年商品開発大賞」を受け大ヒットすると、日清食品も早速どんぶり型を真似た商品を発売している。逆に日清が先に発売した「熱いうどん」に似た名前の「熱いきつね」が出されると、自分たちは平気で人のまねをしているのに、「熱い・・・」は日清の真似だと抗議されたため、東洋水産は「マルちゃんの赤いきつね」に変更し、武田鉄矢を起用したCMが大成功し現在まで続いている。
 東洋水産の創業社長は森和夫(1916年〜2011年95歳没)。日清食品は安藤百福(1910年〜2007年98歳没)。森和夫は社員を大切に、世の為人の為、利他の心を生甲斐としており、退職金も安藤百福の7分の1の3億円。こうし生き方は、数々の伝記本や評論で素晴らしい経営者として称賛されており、京セラ創業者稲盛和夫と同様に日本の宝とされています。
 両者とも一代で大企業に成長させたという共通点はあるものの、安藤百福はテレビドラマのように評価されている面もあるが、一方では影のある人物として芳しくない評価が多く、私はマルちゃんを買うようにしている。なお『燃ゆるとき』は、中井貴一主演で映画化されDVDも発売されています。
追申・マルちゃんがランキングトップに! 2023年8月12日(土)朝8時のTBS系「ひたすら試してランキング」の「カップラーメンしょうゆ味」のテストで「マルちゃん正麺・芳醇こく醤油」が第一位となりました。ちなみに2位は「日清・ラ王背脂醤油」、3位は「ヤマダイ・中華そばの逸品」、4位はエースコックの「わかめラーメンごま・しょうゆ」、5位「マルちゃん麺づくり・鶏ガラ醤油」となり、東洋水産が1位、5位となり、品質の高さが第三者により立証されたかたちです。
  
     気骨のある官僚・前川喜平・元文科事務次官  
  加計学園問題で安倍首相によって行政がゆがめられた
 前川さんは、2015.9.19、安倍政権が強行する安保法制に反対する国会前デモに参加し、翌年6月には最高位の事務次官に就任しています。官僚の人事が内閣に一元化され、政権に忠実な官僚だけが登用される中で、このような気骨のある官僚がいることは日本の救いだと思います。
 前川氏は『面従腹背』(毎日新聞出版1300円)の中で、「加計学園問題で安倍首相によって行政がゆがめられた」。教育勅語復活の動きに関しては「教育勅語は1948年の国会で教育基本法と相容れないものとして排除・失効が決議されているから、『憲法・教基法に反しないような形』で用いる余地はない」。旧統一教会の名称変更問題でも「変更を認めるべきではない」との立場だったが、下村文科大臣によって強行され、報道されるような大悪がはびこる原因が作られています。
  母子家庭の実態を調べるため出会い系バー訪問
 「事務次官経験者が出会い系バー」等の報道は「政府の指示に反対の人には辞めてもらいます(菅首相)」という政権の裏工作によるもで、北朝鮮と同様の民主主義を破壊する暴挙と言わなければなりません。実際は「母子家庭等の実情を調査研究するための訪問」だったと述べられています。前川氏は、折に触れて後輩の文科省官僚に「公務員は全体の奉仕者であり一部の奉仕者ではない」との立場で接しており、気骨のある官僚が育つことを祈るばかりです。
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